EU、音楽著作権を50年から70年に延長へ

欧州連合(EU)の欧州理事会は9月12日、音楽の著作権について、保護期間をこれまでの50年から70年に延長する新しい指令を可決した。加盟国は2014年までに、自国法にこの指令を反映させることになる。

音楽の著作権については2008年、欧州委員会が95年に延長する案を発表した。2009年に欧州議会で可決されたが、理事会レベルでストップがかかったため、当初の期間を25年短くした70年に改正されたという経緯を持つ。

理事会では背景として、ミュージシャンなど音楽演奏者は若いときにキャリアをスタートさせることが多く、現在の50年という保護期間では生涯を通じてパフォーマンスを保護するのに十分ではない、と記している。ちょうど、The Beatles、The Rolling Stonesなど1960年代に活動を開始したバンドやミュージシャンの著作権が数年後に切れる時期にさしかかっていた。

指令では、レコード会社に権利を移管したミュージシャンらも期間延長のメリットを享受できるよう、一定条件の下で権利を取り戻すことができる、と定めている。

著作権保護期間の延長をプッシュしてきたのは、大手レコード会社や業界団体、それに一部のトップアーティスト。ミュージシャンの中ではCliff Richard氏が積極的にプッシュしていた。スイスに本部を置くIFPI(国際レコード産業連盟)、英国レコード産業協会(BPI)などは指令を歓迎する声明文を出している。

一方、デジタル権利を考える非営利団体Open Rights Groupなどは、期間延長によりメリットを受けるのはレコード企業と一部のミュージシャンに過ぎず、市民にはメリットはほとんどないという考えの下に反対してきた。英ボーンマス大学のMartin Kretschmer教授は、保護期間95年とした際に上位20%に入らないアーティストが受け取る額は年間50ポンド程度しか変わらない、と記していた。

Open Rights Groupの執行ディレクターJim Killock氏は今回の指令について、「文化的大失敗」とツイートしている。